協道結婚
オープンカーはレインボーブリッジを走り、お台場のビルで止まった。
「TERRA」と呼ばれるこのビルには、沢山のスタジオや、ホール、武道館、宿泊施設、研究施設があり、展望レストランも、人気の一つであった。
ラテン語で「地球」を意味している。
「いらっしゃいませ、誠様」
スタッフが声をかけ、車を預かる。
「どこへ誘拐されるかと思ったら、テラとは」
「おいおい、盗撮魔、ストーカーの次は誘拐犯ですか?勘弁してくださいよ」
静華も一度、トーイ・ラブのコンサートに来たことがあった。
彼女は、ここを本拠地とする、テラコーポレーションのオーナーでもある。
展望レストランへのエレベーターに乗り込む。
このビルを一括管理しているマザーコンピュータのAIが、アナウンスする。
それを聞きながら、横に並んだまま誠が呟く。
「写真は、消去しておきました」
車中、聞きたくても恥ずかしくて聞けなかった答えに、真っ赤になる静華。
「で、でもどうして?」
その答えを聞く前にエレベーターが止まり、ドアが開く。
そこはまるで天空のユートピア。
360°の夜景がどこまでも広がっていた。
「ようこそ、誠様。こちらへ」
レインボーブリッジを見下ろす席へと座る。
料理は事前にオーダー済みのようであった。
「さてと。まずは容疑を晴らさないと。」
彼は内ポケットから、例の愛phonを取り出す。
「私は、ある建設会社に勤めていて…そうですね、ビルや高層マンションなどを世界的に手がけています。」
ワインが運ばれて、会話をさえぎる。
「えっと…二人の出逢いに!」
そう言って差し出されたワイングラスに、無意識のうちに手を伸ばす。
キーン!🍷🍷 綺麗な音が響く。
(何だか夢の様な感覚)
一口飲んで、話を再開。
「このビルにも少し関わってるんですよ。」
楽しそうに話す誠。
もう聞いているのかいないのかさえ分からないくらい、幸せに酔いしれていた私。
「マンションはとても高い買い物。だから、住んでくれるお客様の気持ちを、一番に考えるべきだと思うんです。…静華さ〜ん。」
幽体離脱中の私が、実体に戻った。
「は、はい。私もそう思います」
「よかった。あの日は、あるマンション予定地から、都内へ通う電車の状態を撮影し、どの時間、どの号車が混んでるとか、各駅での人の流れをデータとして把握していたんです」
(凄い、私はそこまではできてない)
「でも初日で、慣れない満員電車に乗ったものだから、あの始末でした。みんな大変な思いをして、毎日仕事を頑張ってるんですね」
話を聞けば聞くほど、彼に引き込まれていく自分が、妙に心地良かった。
でも!?
たまには、我に返る。
「TERRA」と呼ばれるこのビルには、沢山のスタジオや、ホール、武道館、宿泊施設、研究施設があり、展望レストランも、人気の一つであった。
ラテン語で「地球」を意味している。
「いらっしゃいませ、誠様」
スタッフが声をかけ、車を預かる。
「どこへ誘拐されるかと思ったら、テラとは」
「おいおい、盗撮魔、ストーカーの次は誘拐犯ですか?勘弁してくださいよ」
静華も一度、トーイ・ラブのコンサートに来たことがあった。
彼女は、ここを本拠地とする、テラコーポレーションのオーナーでもある。
展望レストランへのエレベーターに乗り込む。
このビルを一括管理しているマザーコンピュータのAIが、アナウンスする。
それを聞きながら、横に並んだまま誠が呟く。
「写真は、消去しておきました」
車中、聞きたくても恥ずかしくて聞けなかった答えに、真っ赤になる静華。
「で、でもどうして?」
その答えを聞く前にエレベーターが止まり、ドアが開く。
そこはまるで天空のユートピア。
360°の夜景がどこまでも広がっていた。
「ようこそ、誠様。こちらへ」
レインボーブリッジを見下ろす席へと座る。
料理は事前にオーダー済みのようであった。
「さてと。まずは容疑を晴らさないと。」
彼は内ポケットから、例の愛phonを取り出す。
「私は、ある建設会社に勤めていて…そうですね、ビルや高層マンションなどを世界的に手がけています。」
ワインが運ばれて、会話をさえぎる。
「えっと…二人の出逢いに!」
そう言って差し出されたワイングラスに、無意識のうちに手を伸ばす。
キーン!🍷🍷 綺麗な音が響く。
(何だか夢の様な感覚)
一口飲んで、話を再開。
「このビルにも少し関わってるんですよ。」
楽しそうに話す誠。
もう聞いているのかいないのかさえ分からないくらい、幸せに酔いしれていた私。
「マンションはとても高い買い物。だから、住んでくれるお客様の気持ちを、一番に考えるべきだと思うんです。…静華さ〜ん。」
幽体離脱中の私が、実体に戻った。
「は、はい。私もそう思います」
「よかった。あの日は、あるマンション予定地から、都内へ通う電車の状態を撮影し、どの時間、どの号車が混んでるとか、各駅での人の流れをデータとして把握していたんです」
(凄い、私はそこまではできてない)
「でも初日で、慣れない満員電車に乗ったものだから、あの始末でした。みんな大変な思いをして、毎日仕事を頑張ってるんですね」
話を聞けば聞くほど、彼に引き込まれていく自分が、妙に心地良かった。
でも!?
たまには、我に返る。