俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
だが緊張で足がもつれ、それに加え、石畳と慣れないヒールが私の行く手を阻んだ。慣れないスカートなんて履いているから余計だ。ブランド品でもなんでもない紺色のレーススリーブのAラインワンピース。今さら背伸びしたところで仕方がないと、半ば諦めモードで、クローゼットの中で一番まともなこの服を選んだ。確か数年前に友達の結婚式に出席するために買ったものだ。
「ほら、手」
「え?」
よたよたと歩いている私に、先生がふと手を差し出してきた。
「歩きづらいなら、手を貸してやる」
「あ、ありがとうございます」
ドキドキしながら、大きな手に自分の手を乗せる。ごつごつした男らしい手に、キュンとする。
「そういえば今日、雰囲気違うな」
「え?」
「綺麗だ」
いきなり真顔でそんなことをいうものだから、思いっきりあたふたと動揺してしまった。先生ってそういうことサラッと言っちゃうタイプなんだ。ちょっと意外。
「それに、やっぱりお前のこの髪、好きだな」
おろしてきたストレートの髪をすくいながら、まるで宝石を見つめるみたいにして言う。それだけで心拍数があがり、体は熱くなっていた。