俺様外科医の溺愛包囲網~嫌われていたはずが甘く迫られています~
そう確信すると、胸の奥がじわりと温かくなる。ずっとわだかまりがあると思っていただけに。
「素敵なお嬢さん見つけたわね、颯士」
背を向け、縁側に座る先生に声をかける。その口調は、優しいくて柔らかい。
「あなたは昔から遠慮ばかりして、全然わがままもいわない子だったから」
「そうなんですか?」
「えぇ。自分の立場を気にして、私たちに気を使ってばかりで。だからずっと心配だったの。ちゃんと自分の欲しいものを欲しいって言えるのかって。要と年も近いのに、一度も喧嘩したことないのよ?」
クスクスと懐かしむように笑うお義母さん。その顔から温かな情景が浮かんだ。あの手この手を使って、殻に閉じこもる先生と、本当の家族になろうとしたのだろう。
「だから要に『颯士から好きな人を取られた』って聞かされたとき、ちょっと嬉しくなっちゃった」
「ちょっとちょっと、その話はやめてよ。俺、失恋して落ち込んでるんだからさ」
私が気にしないように気を使ってくれているのか、要先生がおどけて笑う。要先生もやっぱり優しい人だ。そして、日比谷先生のことを本当の弟のように思っているのが伝わる。