高嶺の社長と恋の真似事―甘い一夜だけでは満たされない―
それがお酒のせいかどうかはわからないけれど。
休日だったので、私は白のオーバーサイズのブラウスに黒のスキニーという完全に気の抜けた適当コーデだけど、後藤も黒いTシャツに紺の膝丈ステテコという、私の更に上を行く楽ちん着だった。
人のこと言えた立場ではないけれど、正直それで出歩くのはどうかと思う。
「そうだよなぁ。アルコールで思いっきり背中押されなきゃ高坂的にはまず無理だよな。でも、そう考えると、いい酒だと酔わないとかも聞くけど、そうでもないってことか」
「どうだろ。いつの間にか会計が済んでたから値段はわからないけど、口当たりよかったしいいお酒だったんじゃないかな。ただ、その上でもきっと私が飲みすぎたんだと思う。舞い上がってた自覚はあったんだから抑えるべきだった。結局迷惑かけちゃったし」
上条さんは、私の好みを聞いて、色んなお酒を薦めてくれた。
私のことを考えて次のお酒を選んでくれる上条さんが嬉しくて、出されるまま私も飲んだのだけれど、それがいけなかった。
緑川さんが出した交換条件を断り、ひとりホテルを出たあと、二日酔いの頭で色々考えた。
上条さんからしたら、ああいう流れになるのは想定外だっただろうな、とか。女の私からの誘いだったから単純に断りにくかっただけだろうな、とか。
終わったことを後悔しても遅いけれど、迷惑をかけた以上、反省せずにはいられなかった。