高嶺の社長と恋の真似事―甘い一夜だけでは満たされない―
「迷惑ではないだろ。男からしたら相手からそういう雰囲気出して誘ってくるとかラッキー以外のなんでもないし。俺だったら棚ぼたキタって思うところだな」
「それは、貞操観念ゼロの後藤の意見でしょ。普通は好きでもない子に誘われたって困るよ。っていうか後藤、最近年上から人気らしいね。他の営業の人が〝熟女キラー〟って言ってた」
「あー……なんかなぁ。最近なぜか四十代とかからモテるんだよなぁ。俺、年上は五歳くらいまでしか無理だから、その年齢層からの人気は完全に無駄だからすげー勿体ない気分」
高校時代から特定の恋人は作らずにフラフラ遊んでいるという後藤に、眉を寄せる。
後藤は顔立ちがそれなりに整っていてフランクな性格の持ち主な上、恋愛に対する考え方も恐ろしいほどに軽い。そのせいで、体だけの関係だとか、その場の流れでなんとなくだとか、そういった話題を切らさない。
まぁ、女性関係が乱れているところをのぞけば、明るくて誰にでも平等に優しい、気のいい男なので、おばさまたちから人気が集まるのも納得はできる。
そんな男だからか、私も遠慮なしに意見できていて、後藤はそれを軽く流して笑うだけなので、こうして付き合いが続いているのだと思う。
ようはお互いが完全に恋愛対象外だから、気が楽なのだ。
同性の友達とは違った気楽さがある。
「でも、話聞いてる限り、その上条さんって人だって似たようなもんじゃん。昔は遊んでたって秘書が言ってたんだろ?」
パスタを食べながら聞かれ、「だとしても、後藤ほどじゃないと思う」と口を尖らせた。