エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
「母さんのことですか?」
「ああ……」
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宗一郎は遠い目をした。
妻の小百合が出て行った日を思い出していたのだ。
何日も不毛な会話をした挙句、泣きはらした目をしたまま出て行った妻。
息子たちは呆然と母親の後ろ姿を見送っていた。
自分自身は、その時は怒りでなにも見えなくなっていたのだ。
今になって思えば、愛情があったからこそ負の感情も大きかったのだろう。
「私は、妻を信じてやれなかった。だから、多くの物を失った……」