エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
酒豪の紗子はカクテルのメニューを見ながら迷っていたが、喉の渇きを癒すことを優先させたらしい。
「とりあえずビールかな」
紗子はジョッキを手に、じっと優杏を見つめている。
さあ、話してごらんと言いたげだ。
優杏はアルコールの力を借りながらポツポツと自分の気持ちを話し始めた。
ずっと気になっていた噂の原因がわかったのはいいが、
自分の運命があれから変わってしまったことに変わりはない。
優杏は会社も仕事も大好きだったのだ。
溝口夫妻を責めるつもりはないが、わだかまりは残っていた。
誰にもぶつけられない苛立ちが、優杏の心を暗くする。
知らないうちに他人から恨まれていたと思うと、気持のいいものではなかった。
「いろいろ……辛かったね」
ひと通り話を聞くと、紗子は優杏の気持ちに寄り添ってくれた。