エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい


「私も……行ってみようかな」
「え?」

「ケニアへ、行ってみようかな」

ポツリと優杏が言ったのを、側にいた紀之は聞き逃さなかった。

「いいんじゃない?」

突然の優杏の言葉に対し、あっさりと紀之は同意した。


「……兄の作った井戸を見に行きたい」

ケニアから届いた絵や写真を見た瞬間に、優杏は現地に行くことが自分の役目だと感じた。
兄が長年情熱を傾けていたことを、自分の目で見たい。
井戸が役立っている様子を実際に確かめたい。

彼女の気持ちはすぐに固まった。
高層ビル群のすぐそばにサバンナがあるというナイロビや、
サバンナを真っ赤に染める夕陽……兄が見た景色を見に行くのだ。


「今から予防接種を始めたら、9月頃には行けるんじゃあない?」

優杏が調べるより先に、鈴原は具体的な話をしてくれた。
どうやって行くのが一番いいか知っているようだ。

「鈴原さん、お詳しいんですね」
「旅行代理店に友人がいるからね。9月は乾季だからお勧めみたいだよ」




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