OL 万千湖さんのささやかなる野望
万千湖が給湯室に早足で駆け込んだとき、彼女らは万千湖のお弁当箱を生ゴミ入れに捨てようとしていた。
「そこまでですっ」
万千湖はお弁当箱を持っている女の腕をつかんで止めた。
ウェーブのついた髪を手の込んだ編み込みでまとめている、目元の化粧がきつい感じの女だった。
「いたっ。
あんた意外と力強いわねっ」
「時間がないときは、機材も自分で運ぶのでっ」
なんの機材っ? という顔をして、彼女は万千湖を見上げる。
「お弁当箱にイタズラしないでくださいっ。
今、それ一個しかないんですからっ」
はあ? という顔を女はする。
「お弁当箱くらい、100均で買ってきなさいよっ」
そんな彼女に万千湖は怯むことなく、強い口調で言い返した。
「100均のお弁当箱って、食洗機にかけても大丈夫なんですかねっ?」