OL 万千湖さんのささやかなる野望
 バイクの青年は埠頭で会ったあの新米警察官、田中洋平だった。

「お巡りさんじゃないですかっ」
と叫んだ万千湖に、洋平は笑って、手を打つ。

「いや、そうですよねっ?
 あのとき心中した人たちですよねっ!?」

 いや、心中してたら、今、ここにはいません……。

 気づいたようで、洋平は言い直した。

「あっ、すみませんっ。
 縄で手首を縛り合ってた人たちですよねっ?」

 ……お巡りさん、私たち、ここ住めなくなるんで。

 万千湖は思っていた。

 今、出てきたおじいさんとおばあさんに、聞かれていないといいな、と。







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