嘘よりも真実よりも
「椎名さゆみさんと一緒にいるところを撮られたらしい。その写真さえあれば、テキトーな記事つけて、真実らしく報道できるだろうな」
「真実らしく……ですか。確かに、真実がどうかなんて、こんなものからはわかりませんね」

 パタンと週刊誌を閉じると、清貴はにやりと笑む。

「一緒に確かめに行きませんか? 金城さん」
「確かめに、とは?」
「これから四乃森直己と会う約束をしてます。真実を確かめに行くんですよ」
「今からですか」
「直己さんも会見を開くでしょうからね。その前に話しておきたいので」
「しかし、俺が行く理由が……」

 そう言いかける俺の前へ、清貴は手のひらを立てる。

「金城さんには、ライターとして四乃森直己に会ってもらいます。飯沼ってライターを連れていくつもりだったんですが、真実は金城さんに見届けてもらいたい気もしたので」
「飯沼さんという方のふりをして行くんですね」
「そうです。飯沼の名刺、渡しておきますよ」

 清貴は無造作にポケットから取り出した名刺をテーブルの上に乗せる。

「フリーライターの飯沼基紀さんですね。わかりました」

 名刺をポケットにしまう。

「では、行きましょうか。ちょうどいい時間だ」

 そう言うと、清貴は22時を示す腕時計を俺に見せた。
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