嘘よりも真実よりも
「嘘じゃない。俺の車がふたりを轢いたんだ」
「それは事実かもしれないですが、嘘をつく必要なんてありましたか? あの時の少年とその母親は、相当バッシングを受けましたね。直己さんが罪を背負う必要なんてなかったんですよ」
淡々と話す清貴を見つめる直己の瞳は動揺で揺れる。
「事実、あのあとも、あなたと万里さんは恋人関係にあった。万里さんはあなたを許していた。あなたは悪くないからですよね。それなのに別れたきっかけは、四乃森直己のブレイクですか。若く才溢れる青年のスキャンダルはおいしいですからね。万里さんがマスコミに苦慮していたことは周知です」
「……清貴くん、あの時の万里はもう疲れ切っていたんだ。別れるしかなかった。それしか、万里を救う方法はないと思った」
モデルだった久我直己は、四乃森直己に改名後、21歳で出演した映画で注目されるようになった。
その頃に、20歳前に起こした事故を掘り返された。それがきっかけで、みちるの両親は引き裂かれたというのだろう。
「だからって、なぜ嘘を?」
「……みちるが生まれたからです。みちるを万里のようにしたくなかった。俺が注目されればされるほど、あの事故は風化しない。俺に会いたいなんて思わないように、万里の両親を殺したのは俺だってことにしてほしいと富山さんにはお願いしたんです。いいえ……、俺が殺したのは、事実です」
うつむいたまま、直己は意気消沈して頭を振る。
「みちるを突き放すためだけにそんな嘘を? あの事故は大々的に放送されましたが、まだ19歳だったあなたは匿名報道でした。どちらかというと、恋人の両親をひき殺してしまった犠牲者扱いでしたよ」
「それは事実かもしれないですが、嘘をつく必要なんてありましたか? あの時の少年とその母親は、相当バッシングを受けましたね。直己さんが罪を背負う必要なんてなかったんですよ」
淡々と話す清貴を見つめる直己の瞳は動揺で揺れる。
「事実、あのあとも、あなたと万里さんは恋人関係にあった。万里さんはあなたを許していた。あなたは悪くないからですよね。それなのに別れたきっかけは、四乃森直己のブレイクですか。若く才溢れる青年のスキャンダルはおいしいですからね。万里さんがマスコミに苦慮していたことは周知です」
「……清貴くん、あの時の万里はもう疲れ切っていたんだ。別れるしかなかった。それしか、万里を救う方法はないと思った」
モデルだった久我直己は、四乃森直己に改名後、21歳で出演した映画で注目されるようになった。
その頃に、20歳前に起こした事故を掘り返された。それがきっかけで、みちるの両親は引き裂かれたというのだろう。
「だからって、なぜ嘘を?」
「……みちるが生まれたからです。みちるを万里のようにしたくなかった。俺が注目されればされるほど、あの事故は風化しない。俺に会いたいなんて思わないように、万里の両親を殺したのは俺だってことにしてほしいと富山さんにはお願いしたんです。いいえ……、俺が殺したのは、事実です」
うつむいたまま、直己は意気消沈して頭を振る。
「みちるを突き放すためだけにそんな嘘を? あの事故は大々的に放送されましたが、まだ19歳だったあなたは匿名報道でした。どちらかというと、恋人の両親をひき殺してしまった犠牲者扱いでしたよ」