嘘よりも真実よりも
 総司さんの胸に身体を預け、まぶたを閉じる。優しい心音に心を癒されるのは、ほんの少しの間だけ。すぐに離れると、彼は頼りなく眉を下げて、私の手を握る。

「私、総司さんに嘘をついてるんです」

 不思議なぐらい穏やかな気持ちで、私はそう切り出す。彼もまた、驚いたりしないで、静かにうなずく。

「ずっと、最初から嘘をついてました。だから、謝りたいと思って」
「どんな嘘?」

 総司さんは優しく尋ねてくれる。

「私の、両親のことです。あの……私、富山……」
「うん、何?」

 言葉をつまらせる私をうながして、彼は私の髪をゆるりとなでる。彼にそうされると、落ち着く。

「私、富山みちるではないんです……。仁志さんも清貴さんも、兄ではなくて」
「そう。それで?」

 総司さんはやっぱり驚いたりしないで、うなずく。

「驚かないの?」
「知ってたからね、驚かない」
「知ってた……?」

 驚くのは、私の方だった。いつ、気づいたっていうのだろう。

「先日、富山清貴さんに会ったよ。全部聞いた。みちるのご両親のこと、全部」
「え……」
「先に誤解したのは俺で、言い出せないようにしたのも俺かもしれないね」
「……私、総司さんにつり合う女性に見られたかったの」

 父は人殺しで、母のいないみなしごだなんて、どうしたら言えただろう。豪華な箱の中で育っただけの、つまらない女だ、私は。

「みちるは、どうしたい?」

 彼はぐっと私の手を握りしめた。

 真実を知って、彼はどう思ったのだろう。怒ってる様子はないけれど、怒る気にもなれないほど失望しただろうか。

「父の起こした事故も聞きましたか?」
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