嘘よりも真実よりも
『本当です。私の中の娘は……、こう言ってはなんですが、私に似た、とても綺麗な娘でした。心根の優しい娘でした。私はお世辞でも立派な人生を歩んできたとは言えません。私には出来すぎた、素晴らしい娘でした。だから、離れていても安心してしまっていたのかもしれません。もっとたくさん、連絡を取っていればよかった。そう思うこともありますが、娘のことは、私も、みなさまにも、そっと胸の中におさめてもらえたらと思っています』
『では、今日発売の一部週刊誌が報じた記事が正しいと?』
『はい』

 記者たちはふたたび、ざわつく。

「今日発売って……?」

 そうつぶやくと、総司さんがテーブルの上の週刊誌を私に差し出す。

「六花社の週刊キャストに、四乃森直己さんの語った真実が掲載されています」
「六花……。清貴さんが書かせたの? それに、真実って……」

 週刊誌を開く。私の記事はすぐに見つかった。

 四乃森直己の娘は亡くなっていた!
 報じられた女性は無関係のOL!

 大きな見出しが目に飛び込んでくる。

「これ……、飯沼さんが書いたの……」

 ライター、飯沼基紀の名前を指でなぞる。
 彼はゴシップ記事を書くようなライターではなかったのに。

「清貴さんと飯沼さんが、嘘の記事を?」

 清貴さんが考えた筋書きを、飯沼さんが形にして、四乃森直己が演じた。これは、脚本だろう。

「みちる。真実も、嘘も、簡単に作り出せます。それを、清貴さんは証明してみせただけのことです」
「……あの人に、頼んだんですね。私は死んだって、会見で話すようにって」
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