嘘よりも真実よりも
「総司さん……、どうしてそんなに……」
「みちるは、俺を愛していない?」

 頼りなく眉を下げる彼に、首をふる。愛してないわけない。

「みちるは別れたいと言ったけど、俺は別れたくないです。後悔なんて一度もしてない。傷ついてもないです」
「本当に……?」
「少し驚いただけですよ。ああ、あとは嫉妬しました」

 彼は目尻を下げて、うっすら笑む。

「嫉妬って?」
「血のつながらない男と暮らしてるなんて知ったら、落ち着かないのは当然でしょう」
「あ……。仁志さんや清貴さんとは、そういうのではなくて。兄ではないけれど、兄のような……」
「兄ではないことが重要です。俺は未熟なので、あなたのような美しい方といたら、間違いを起こす自信があります」

 冗談っぽくそう言って、総司さんは戸惑う私を抱きしめる。

「ひとつひとつ乗り越えていきましょう。乗り越えられないこともあるでしょう。その時はふたりで悩んで苦しんで、支え合っていきましょう」
「もっと楽な恋だってあるのに……」
「楽な恋をしたいわけじゃないです。みちると、泣いて笑って生きていきたい。そのためには、別れたいって言った言葉を撤回してもらいたいのですが」

 総司さんの大きな手がほおを包み込んでくる。真摯なまなざしの彼を見つめ返す。

「私でいいの……?」
「あなたでないといけません」
「どうして?」
「言ったじゃないですか。タイプだからです」

 あきれる答えに、困惑してしまう。

「もっとよくお考えになった方が……」
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