嘘よりも真実よりも
「あまり焦らさないでください。はやくあなたに触れたくてたまらない」

 そう言う先から、総司さんは顔を近づけてくる。

「いいの……?」
「みちるは?」
「私も、総司さんがいいなら……。別れたいなんて言って、ごめんなさい」

 だからって、この不安は消えないけれど、優しくほほえんだ彼が、唇を寄せてくるから、そっと受け止める。

「みちる……」

 ひとたび触れると、堰を切ったように、キスは深くなった。

 力強くて荒々しくて、それでいて、時折、優しくなるキスは、彼の強い思いと私への思いやりが満ちているよう。

「みちる、いい?」

 ささやく彼は、セーターを押し上げようとする。

「待って……」
「待ちたくない。毎日でも抱きたいです」
「毎日だなんて……」
「いっそ、一緒に暮らしましょうか。兄ではない彼らと暮らすあなたを容認できそうにない」

 そうしたら、毎日抱かれるの? なんて、余計なことを考えていると、抱き上げられてベッドへ連れていかれる。

「結婚、しましょうか」
「今、言うの……?」
「今だけじゃなくて、後でもいいますよ。明日になったとしても、みちるから返事が聞けるまで」
「総司さん……」

 両腕を伸ばしたら、彼は私の背中を抱き寄せてくれる。そして、愛してる、愛してると熱い思いを語るように、私を抱いてくれた。
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