嘘よりも真実よりも



「おはよう、みちる。男連れで朝帰りとは恐れ入るよ。……あ、もう昼か」

 玄関のチャイムを鳴らしたら、すぐに清貴さんが出てきたけれど、私の隣に総司さんを見つけるなり、にやにや笑って茶化してくる。

 だから、ちょっと嫌だったのだ。総司さんを連れて帰宅するなんて。でも、彼がどうしても会いたい人がいるからと言って譲らなかった。

「仁志さんはいらっしゃる?」
「兄さんならちょうどリビングにいるよ。客間で待ってろ。連れてくる」

 すぐに行ってしまった清貴さんを見送り、私は仕方なく総司さんにあがるように声をかける。

「仁志さんにどんなお話があるの?」
「それはもちろん、結婚を許していただくんです」
「許すも何も……」

 仁志さんが私にプロポーズしたこと、ご存知なのかしら? なんて警戒してしまうけれど、彼は清々しい表情で、「おじゃまいたします」と玄関をあがる。

「仁志さんは反対なさらないと思います」
「そうだといいですが」

 総司さんを連れて客間へ入る。すぐに彼をソファーに案内して、お茶を用意しようと廊下に出たら、すぐに仁志さんはやってきた。

「みちる、おはよう。金城さんがいらしたそうだね。ちょうどよかった。俺からも話があったんだよ」
「仁志さんも?」
「お茶は清貴に任せて、みちるも戻りなさい」

 そっと背中に手を回されて、客間へ戻される。同時に、総司さんは仁志さんを見るなり立ち上がり、ゆっくり頭を下げた。

「はじめましてではないかな。ようこそいらっしゃいました」

 仁志さんはそう声をかけて、総司さんを座らせると、向かいに腰かけた。
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