嘘よりも真実よりも
「パーティーでは何度か。お忙しいところ、突然お邪魔しまして申し訳ありません」
「そうでしたね。金城マーケティングさんとは、これからも末永くご縁をいただきたいところですが、今日は、どういったご用件で?」

 総司さんの隣へ座る私を見届けて、彼は穏やかに尋ねる。

 結婚したいなんて言い出したら、仁志さんはどう思うのだろう、なんて内心そわそわしていると、総司さんが私をちらりと見てから切り出す。

「みちるさんと結婚するにあたり、お願いがあって来ました」

 ほんの少し、仁志さんは驚いて目を大きくした後、すぐにほほえむように細めた。

 結婚を許して欲しいなんて言葉を待っていたのかもしれない。でも、総司さんはそうは言わなかった。反対されても、結婚するつもりがあるのだと、仁志さんに伝えたかったのだろう。

「お願いとは、なんですか?」
「俺は今までずっと、相応の女性を選ぶよう言われてきました。内心、そんなもの、と思ってはおりますが、やはり、俺にはもったいないぐらい素敵な女性であるみちるさんには、彼女が自信を持って俺と結婚してもらいたいと思っています」
「そうですか。わかりますよ、おっしゃりたいことは」
「ですから、富山さんには、みちるさんが自信を持てる道を模索していただきたいのです」

 客間のドアがノックされ、お盆を持った清貴さんが入ってくる。

 すぐに立ち上がり、お盆を受け取る。テーブルの上にコーヒーカップを並べていくと、仁志さんの隣へ無遠慮に座った清貴さんが、仁志さんと総司さんを交互に見る。

「何? 難しい顔してるな、兄さん」
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