嘘よりも真実よりも
*
みちるは俺に会いに来なかった。
期待するなと宣言されてはいたが、来てくれるような気がしていただけに、失望は大きかった。
みちるという名前以外、彼女のことは何も知らない。
富山家にゆかりがあり、私用で富山仁志に会える女性。さらに言えば、恋人のように身を寄せ合えるほどの信頼を、富山清貴に向けている女性。
俺の推測が正しければ、彼女は富山家の娘。仁志や清貴の妹だろう。そう考えると、彼女の美しさを裏付ける品性とも辻褄が合う。
絶対に、欲しい。
一目見た瞬間に覚えた感情は、ひとりよがりだと非難されようが、俺の中に根付いた思いだった。そのぐらい、彼女は綺麗で、危ういはかなさを持つ可憐な女性で、俺の心を簡単に陥落させた。
「……金城さんっ」
富山ビルの受付前を通り過ぎようとした時、ささやくような、ひかえめな声に名を呼ばれて足を止めた。
「あ、ああ、椎名さん」
受付の中から、笑顔が可愛らしい女性が小さく手を振る。
彼女の名前は、椎名彩香。去年から、富山ビルの受付嬢として勤務するようになった。
顔を合わせれば挨拶する程度の関係だが、彼女が俺に好意を抱いてるだろうことは容易に想像がついていた。
みちるは俺に会いに来なかった。
期待するなと宣言されてはいたが、来てくれるような気がしていただけに、失望は大きかった。
みちるという名前以外、彼女のことは何も知らない。
富山家にゆかりがあり、私用で富山仁志に会える女性。さらに言えば、恋人のように身を寄せ合えるほどの信頼を、富山清貴に向けている女性。
俺の推測が正しければ、彼女は富山家の娘。仁志や清貴の妹だろう。そう考えると、彼女の美しさを裏付ける品性とも辻褄が合う。
絶対に、欲しい。
一目見た瞬間に覚えた感情は、ひとりよがりだと非難されようが、俺の中に根付いた思いだった。そのぐらい、彼女は綺麗で、危ういはかなさを持つ可憐な女性で、俺の心を簡単に陥落させた。
「……金城さんっ」
富山ビルの受付前を通り過ぎようとした時、ささやくような、ひかえめな声に名を呼ばれて足を止めた。
「あ、ああ、椎名さん」
受付の中から、笑顔が可愛らしい女性が小さく手を振る。
彼女の名前は、椎名彩香。去年から、富山ビルの受付嬢として勤務するようになった。
顔を合わせれば挨拶する程度の関係だが、彼女が俺に好意を抱いてるだろうことは容易に想像がついていた。