嘘よりも真実よりも
 翻訳会社にすら登録しておらず、自身もサイトを持っていない。清貴を通じて仕事をもらっているぐらいかもしれない。あれほどの美女なのだから、翻訳家として大きな活躍をしてるなら、写真の一枚ぐらい出てきても良さそうなものなのに。

 仕方なく、六花社のホームページにアクセスした。みちるが訳した書籍は三冊見つかった。そのうちの一冊を購入した。

『答えのない回廊』というタイトルのついたその書籍は、身分違いの恋に悩む女の話のようだった。内容には大して興味はなかったが、彼女の仕事に触れてみたい思いはあった。

 書籍は、二日後に届いた。風呂から出ると、ポスト投函されていた包装からそれを取り出し、ベッドに横になった。

 舞台は現代。とある映画をきっかけに、映画スターだったジョニーに恋した女、リサ。リサは大富豪の屋敷に勤める家政婦。

 ある日、富豪が自身の屋敷で開催したパーティーで、リサはジョニーに出会う。ジョニーに見染められたリサは、周囲に内緒で交際を始める。しかし、リサはある日を境にジョニーの前から姿を消す。彼女はジョニーの子を妊娠していたのだ。

 妊娠を知ったリサの両親は、ジョニーに結婚するよう頼みに行こうとするが、彼にはすでに新しい恋人がいた。

 ジョニーを愛するリサを両親は説得し、以前からリサを慕っていた幼なじみのイーサンと結婚させる。

 イーサンは優しい男で、彼を愛しきれないリサとその子ども、アンナを生涯愛し続けた。一方、ジョニーもリサへの想いを立ち切れないまま、数多の浮名を流すようになる。
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