嘘よりも真実よりも
 自らが愛してやまない男ジョニーと、全身全霊かけて己を愛してくれる男イーサン……ふたりの男の間で揺れるリサの心、女に溺れながらもリサに未練を持つジョニーの心情が、アンナ目線でどこか悲しくて、優しい文章で綴られている。

 しかし、リサが幸せだったかどうかは、導き出せずに物語は終わりを迎えた。最後まで読んでも明確な答えが出せない、どこかに心が取り残されたような読後感の残る話だった。

 きっと、恋に答えなどないのだろう。
 愛し合うジョニーとリサが離れてしまった時に、未来は決まってしまったのだ。それが正しいのか、間違っていたかどうかは別として。

 ただアンナ目線で描かれた作品であることに違和感を覚えた。アンナはイーサンに、ジョニーとリサの恋を聞かされて育っている。そして、アンナは恋を後ろめたいものと理解し、恋ができずに成長した。

 答えのない回廊を歩き続けているのはきっと、リサではなく、アンナなのだろう。

 本を枕元に置き、そのまま目を閉じた。

 物悲しい物語だったが、みちるの訳した文章は、アンナの心に寄り添う優しいものだった。まるで、アンナはみちる自身じゃないのかと感じるような。

 みちるの持つはかなさは、どこから来るものなんだろう。彼女もまた、恋ができずにいるのだろうか。

 だから、俺から逃げた。キスをしている間は、みちるだって俺の唇を求めてくれていて、心を通わせているように思えていたのに。

 すべては俺の願望が見せた幻想だったのか。それとも、みちるには素直になれない理由があるのか……。
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