嘘よりも真実よりも
「申し訳ございません。私は医療系を主に得意としていて、ITには強くないんです。ご期待に添えられない可能性が高いですので、ほかの方に頼まれた方がいいと思います」
「そうでしたか。それは残念です」
あっさりと彼は身を引くと、運ばれてきたばかりのコーヒーを私に勧める。
彼もまた、過度な期待をしてなかったのだと思う。やっぱり、仕事なんてただの名目だったのだろう。
「最近も、文芸の翻訳を?」
コーヒーをひとくち飲んで、彼は尋ねてきた。すぐに帰ろうとバッグに手を添えたから、会話が途切れないように配慮したみたいだった。
まだ私への興味は尽きないのだろうか。総司さんが固執する価値など、私にはないのに。
「あ、いいえ。時間のある時に、清貴さんがたまにお仕事を紹介してくださるんです。その時だけ。普段は富山のご縁で、医療機器関連の翻訳を中心にお仕事をいただいてます」
「お忙しくされてるんですね」
「金城さんほどは忙しくないですから。……お仕事中ですよね。私はこれで」
「時間ならあります。もう少し話をしましょう」
頭を下げかけると、彼が遮る。
「でも……」
「素直に告白します。みちるさんに会いたかった。今日はそれだけです。こうして改めてお会いして、やはりお綺麗で、目が離せなくなります」
私をまっすぐ見つめる目に戸惑う。
彼は出会った時から、私をじっと見つめていることが多くて、どうしてだろうと困惑していたけれど。
「きれいと言ってくださるのは嬉しいけれど、それだけではお付き合いする理由にはならないでしょう?」
「足りませんか?」
「足りないと思います」
「そうでしたか。それは残念です」
あっさりと彼は身を引くと、運ばれてきたばかりのコーヒーを私に勧める。
彼もまた、過度な期待をしてなかったのだと思う。やっぱり、仕事なんてただの名目だったのだろう。
「最近も、文芸の翻訳を?」
コーヒーをひとくち飲んで、彼は尋ねてきた。すぐに帰ろうとバッグに手を添えたから、会話が途切れないように配慮したみたいだった。
まだ私への興味は尽きないのだろうか。総司さんが固執する価値など、私にはないのに。
「あ、いいえ。時間のある時に、清貴さんがたまにお仕事を紹介してくださるんです。その時だけ。普段は富山のご縁で、医療機器関連の翻訳を中心にお仕事をいただいてます」
「お忙しくされてるんですね」
「金城さんほどは忙しくないですから。……お仕事中ですよね。私はこれで」
「時間ならあります。もう少し話をしましょう」
頭を下げかけると、彼が遮る。
「でも……」
「素直に告白します。みちるさんに会いたかった。今日はそれだけです。こうして改めてお会いして、やはりお綺麗で、目が離せなくなります」
私をまっすぐ見つめる目に戸惑う。
彼は出会った時から、私をじっと見つめていることが多くて、どうしてだろうと困惑していたけれど。
「きれいと言ってくださるのは嬉しいけれど、それだけではお付き合いする理由にはならないでしょう?」
「足りませんか?」
「足りないと思います」