嘘よりも真実よりも
「では、足りるまで、みちるさんを知りたいです」

 私を好きな理由を増やそうと、彼は言ってくれる。でも、そういうことではないのだと、彼はきっと理解してくれないだろうと思う。

「いくら大切に思ってくださっても、私は金城さんを大切にできないんです」
「今はそう思ってるだけですよ。みちるさんはご両親に大切に育てられたのでしょう。あなたはお優しい方だと想像しています」
「両親……」

 小さく息を飲む。

 彼はやっぱり勘違いしていて、その上で、私を好きだなどと言うのだろう。

「そうですね……。富山は大切に育ててくださいました。どこへ出しても恥じない娘にと……、育ててくださいました」
「どなたか、お好きな方がいらっしゃるんですか?」

 そうでなければ、交際の申し込みを断られる理由がないと思ってるみたい。

 総司さんは柔和で優しい方のようだけれど、絶対的な自信を持った人でもあるのだろう。

「……いいえ」
「いや、みちるさんなら良いご縁はたくさんあるだろうと思いまして」
「そんなことありません。結婚は、しないつもりでいます。どこへ出しても恥じないようにと育ててもらったけれど、どこへ行く気もありません。許される限り、富山の家にいたいと思っています」

 正直な思いを吐露した。
 これから先の未来、どうなるかわからないけれど、富山の家には今、……今は私の居場所がある。

「そう思うのには、何か理由があるのですか?」
「居心地がいいんだと思います。今の生活を変える気はないんです」
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