嘘よりも真実よりも
「では、俺も言わせてください。俺はまだ、みちるさんを何も知りません。むしろ、わからなくなったように思います。ですからもっと、知りたいと思います」
「困ります……」

 どう言ったら、関わりを絶ってくれるのだろう。途方にくれて見上げるのに、彼は私の前まで移動し、手首をそっとつかみ、手のひらを合わせてくる。

「お互いに知ってからでも、結論を出すのは遅くないでしょう。みちるさんが好きです。今日お会いして、ますます思いは募りました」
「……金城さん」

 まっすぐ見つめてくれる彼の言葉で、ほおが赤らむのを感じる。すっかり忘れていた、誰かを愛する気持ちがくすぶるみたい。

「今度デートにお誘いします。また連絡してもいいですか?」
「あ、それは……その」
「後ろ向きな答えを出すのは簡単なんです。前向きな答えほど、慎重に出してもらいたいんですよ」
「金城さんは、とても良い方ですね」

 つまらない言葉しか言えない。でも、彼は満足そうにほほえんだ。

 大きな一歩なんていらない。少しずつわかり合っていけばいい。仁志さんと同じように、それを態度で示してくれる。

 でも、仁志さんとは違う。総司さんは私を誤解したまま、好きだというから。仁志さんは、私のすべてを知っていて、結婚したいと言ってくれてる。同じようで、何も同じじゃない。それは、私だけが知っている。
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