嘘よりも真実よりも
腕時計を確認する。総司さんとの待ち合わせまで、あと1時間あるから大丈夫だろう。念のため、少し遅れるかもしれないと彼にメールを入れて、玄関へ向かう仁志さんについていく。
総司さんより仁志さんを優先するのは当然だった。物事には優先順位がある。それを間違えてはいけない。仁志さんたちの母である富山未知子が教えてくれたことだった。
「仁志さんはどちらへ行かれるつもりだったんですか?」
ガレージにある車に乗り込む。仁志さんが運転してくれるみたい。
「スーツを新調しようと思ってね」
「では、私も少しだけお付き合いします」
「ありがとう。みちるも、気に入った生地があったら買うといい」
「はい。ありがとうございます」
車が走り出すと、約束の時間には行けそうにない、会うのは延期してほしいと、ふたたび総司さんにメールをした。彼はメールに気づかないのか、返事はなかった。
「誰かと約束してた?」
バッグの中へスマホをしまうと、仁志さんは尋ねてきた。
「大丈夫です」
「時間になったら、行っていいよ」
「お気遣いありがとうございます」
頭をさげると、仁志さんの横顔が心配そうに歪む。
「迷惑なときは誘いに乗らなくていいんだよ」
「富山の家に暮らす以上、仁志さんを一番に優先するのは当然です」
「……ああ、母がいつもそんなことを言ってたね。気にしなくていいし、あれは、みちるにとって一番大切なものを見誤らないようにって意味だったと思うよ」
総司さんより仁志さんを優先するのは当然だった。物事には優先順位がある。それを間違えてはいけない。仁志さんたちの母である富山未知子が教えてくれたことだった。
「仁志さんはどちらへ行かれるつもりだったんですか?」
ガレージにある車に乗り込む。仁志さんが運転してくれるみたい。
「スーツを新調しようと思ってね」
「では、私も少しだけお付き合いします」
「ありがとう。みちるも、気に入った生地があったら買うといい」
「はい。ありがとうございます」
車が走り出すと、約束の時間には行けそうにない、会うのは延期してほしいと、ふたたび総司さんにメールをした。彼はメールに気づかないのか、返事はなかった。
「誰かと約束してた?」
バッグの中へスマホをしまうと、仁志さんは尋ねてきた。
「大丈夫です」
「時間になったら、行っていいよ」
「お気遣いありがとうございます」
頭をさげると、仁志さんの横顔が心配そうに歪む。
「迷惑なときは誘いに乗らなくていいんだよ」
「富山の家に暮らす以上、仁志さんを一番に優先するのは当然です」
「……ああ、母がいつもそんなことを言ってたね。気にしなくていいし、あれは、みちるにとって一番大切なものを見誤らないようにって意味だったと思うよ」