嘘よりも真実よりも
「私はっ、私は……仁志さんと一緒にいます」
「うれしいけど、一緒にいるだけじゃダメなんだよ、みちる」

 仁志さんの指がほおに触れて、そのまま手のひらが包み込んでくる。

「俺は結婚したいと言ったんだ。これまでのように、一緒に暮らすだけとは違うんだよ」
「結婚は……」
「結婚はしない? 誰とも? 万里さんのように生きていく? それは不幸だよ、みちるにとって」
「でも、金城さんに私はつり合わなくて……、仁志さんとだって私なんか……」

 じわりと浮かぶ涙を見て、彼の表情が苦痛にゆがむ。彼の方が傷ついてるみたい。

「みちるは、みちるだよ。前もそう言っただろう? 万里さんのように生きなくていいんだよ」
「違います」

 首を左右に振る。

「金城さんとのこと、誤解してます」
「してないと思うよ。みちるはさっきから必死だ。金城さんを好きだと言ったら、俺が怒ると思ってる? 失望するとでも? みちるの幸せを俺が壊すと思ってるなら、それこそ失望するよ」
「違う……」
「金城さんを受け入れないことで、彼を守るつもりなのかな、みちるは」

 悲しげに私の背中に片腕を回した仁志さんは、そっと背中をトントンと叩く。まるで、赤子をあやすみたいに。

「彼はそんなに弱い?」
「金城さんは、私が富山みちるだと思ってます。私の素性を知ったら、傷つく方だと思います」
「そう。……そうかもしれないね。彼の家も、スキャンダルは嫌うだろう」
「だから、金城さんとは無理なんです」
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