嘘よりも真実よりも
「みちるさん、絵画はご覧になりますか?」
アザレアホテルを出て、総司さんはビルの壁面に貼られた美術館のポスターに目を移す。海外の有名な風景画が、今日から展示されているみたい。
「はい。静かな場所が好きなので、美術館にはよく行きます」
「静かな……そうですか。パーティーは苦手だとおっしゃっていましたね。では、美術館へ行きましょうか」
「金城さんもお好きですか?」
「正直、みちるさんといられるならどこでも。もちろん、絵画も好きですが」
まっすぐな愛を伝えてくれる総司さんに、そっと身を寄せる。私も、彼のように素直に生きてみたいと思う。
彼は無言で、私の指をさぐった。ふたたび手のひらが重なると、指がからんだ。私も握り返したら、心もつながったみたいに胸が熱くなる。
総司さんに導かれるようにして歩き出すと、彼が言う。
「ご兄弟がいらして、羨ましいですよ」
「金城さんはいらっしゃらないんですか?」
「ええ」
私と同じ。いつもひとりで考えて、誰にも頼らずに生きていくのを当然と思ってた。彼も、そうなのだろうか。
「甘えさせてくれる方が側にいるといいですね」
「みちるさんは?」
「仁志さんはとても優しいので、すぐに甘えてしまいます。清貴さんはマイペースなので」
「マイペースですか。まあ、確かに。面白い方です」
「清貴さんとお話になったの?」