嘘よりも真実よりも
門の前には、黒い車が停車していた。近づくと、総司さんが降りてくる。
私の強ばる顔を見るなり、総司さんは表情をくもらせた。笑顔になろうと思うのに全然できなくて、目を伏せると、彼の手のひらがほおに触れた。
「急にお誘いしてすみません。疲れてますか?」
「いいえ……」
首を横にふる。総司さんに会えるって楽しみにしてたのに、心配かけてしまったって悲しくなる。
「何かありましたか?」
総司さんは私の悩みに踏み込んでくる。めんどくさいって、投げ出したりしないでくれる。でも、本当のことなんて言えない。
「なんにも……。お食事を、楽しみにしていたんです」
「それならいいんですが。じゃあ、行きましょうか」
「はい……」
ドアを開けてくれるから、助手席に乗り込むと、彼はすぐに運転席に戻ってくる。
「本当は、週末お誘いするつもりだったんですが、急な仕事が入ってしまいまして。しばらく会えないかもしれないので、無理なお誘いになってしまいました」
彼はふたたび申し訳なさそうにする。
「しばらく、会えないんですね」
そうなのか、と残念な気持ちになる。
「みちるさん、今日は大切な話をしようと思っています」
「……大切って?」
彼は身体を傾けて、左手を伸ばす。その指先が私の手に触れるから、大切な話が何がわかって、思わず目を伏せる。