嘘よりも真実よりも
「何度かこうしてお会いしましたが、俺の気持ちは変わりません。みちるさんはどうですか?」
「私は……金城さんと一緒にいられて、うれしいです」
「それは、前向きな答えと受け取っていいでしょうか」

 ぎゅっと、手を握られる。

 目をあげたら、彼が私を真摯に見つめていた。

「は、い」

 そう、ゆっくりと口を動かしたら、総司さんは前のめりになる。首を傾けて、私の唇に唇を寄せる。

 ほんの少し、あごを引く。ためらったら、彼もためらうように離れた。しかし、手を握り返したら、彼はまた唇を寄せてきた。

 ゆっくりと、唇が重なった。キスをするのははじめてではないのに、胸がひどく高鳴った。そっと重なるだけのキスは、あまりに優しいキスだった。

「みちるさん……このまま俺の部屋に来てくれますか?」
「えっ」
「いけませんか?」

 どうしたらいいのだろう。

 うなずいたら、きっと……と思う。でも、それでもいいかもしれないって思ってる。

「しばらく会えないんですよね……」
「月末には必ず」
「そんなに会えないなら、今日はずっと一緒にいたいです」
「みちるさん……」

 ますます彼は私の手を強く握りしめた。

「つらいことがあったなら、俺が忘れさせてあげます。みちるさんには、笑っていてほしいんです」
< 72 / 134 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop