嘘よりも真実よりも
マンションの地下駐車場に停車した車を降りると、総司さんに腰を抱かれて、エレベーターへ向かった。
腰に回る腕が、さりげなく彼の方へ私の身体を引き寄せる。よそよそしかった距離感が一気に縮まるのを感じる。
最初から大胆に迫ってきた彼は、こういうことが簡単にできる人だったのだと思い出し、緊張した。嫌ではないけれど、簡単に踏み込んでくる強さを、抗えないと知っている。むしろ、今まで距離を保てていたのは、彼の誠意だったのだろうとも思う。
エレベーターに乗り込み、彼は12のボタンを押す。途中、どの階にも止まらず、私たちは12階へ運ばれた。
誰にも会わずに彼の部屋に到着すると、リビングへ通された。ソファーへ私を座らせた彼は、キッチンからワイングラスを運んでくる。
「軽く食べられるものを注文しましょうか。ワインは何がいいですか?」
「金城さんのおすすめで」
「では、白にしましょう」
ワインセラーからボトルワインを取り出し、彼はスマホで電話をかける。デリバリーを頼んでくれたみたい。
「ワイン、飲んでも?」
グラスに白のスパークリングワインを注ぎながら、今さらに彼は尋ねてくる。
送れない、と言ったのだろう。帰す気もないと。
「乾杯しましょう」
私の返事を待たず、グラスを差し出す。これを受け取るということが返事になるのだと思って、グラスに手を伸ばす。
わずかにグラスを重ねて乾杯し、ワインを口に含む。爽やかで甘いスパークリングワインは強くなくて、彼の優しさを感じる。
「あんまり酔ってほしくないので」