嘘よりも真実よりも
「……みちる、と呼んでも?」
「はい……」
「いいですね。あなたの特別になったみたいだ」

 みちる、と唇を動かして、目を細めた彼が足に触れてくる。ゾクっと身体が震えて、つま先に力が入る。これから起きようとしていることに緊張した。それは久しぶりに訪れた感覚で、飯沼さんが脳裏をよぎった。

 彼はどうやって私を抱いただろう。その感覚がよみがえってくる前に、彼にはやく抱かれたいって感情もわき起こる。

「パーティーの時は焦っていました。強引にしてしまって反省しています。今はあなたの気持ちを確かめたい」
「私の気持ち……」
「まだ、俺をどう思ってるのか、聞いてない。みちるの口から聞きたい」
「……それはもちろん、総司さんが好きです」

 おずおずと申し出る。

「そうですか」

 彼は冷静にそう言う。

「好きですか」
「はい。好きです。きっと、出会った時からずっと、惹かれていました」
「それは初耳です。もっとはやく、こうしていたらよかった」

 やんわり微笑んだ彼のキスはひどく優しく、自然とお互いを求めるように私たちはベッドに沈んだ。
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