嘘よりも真実よりも
パスタをからめたフォークをそのままに、私は小さくうなずいた。
仁志さんは食べながら聞いてくれればいいと笑顔を見せたけど、そんな気になれなくて、じっと彼を見返した。
「お相手の方は、椎名さゆみさん」
「椎名……?」
「何?」
「あっ、いえ。続けてください」
椎名と聞いて、とっさに浮かんだのは、富山ビルの受付嬢だった。妙な居心地の悪さを感じながら、耳を傾ける。
「年齢はもう、報道で知ったと思うけどね、30歳。椎名グループ会長の縁戚にあたる方で、お互いの知人を介して知り合ったそうだよ」
「椎名グループって、ホテルチェーン大手の?」
「そう。椎名さんには、うちもお世話になってる」
だから、悪いようには思わないでほしい。仁志さんはそう言ったみたいだった。
「あの人と結婚するには申し分ない方みたいですね」
「年齢差には驚いただろうけど、まあ、そうだね」
私とほとんど歳の変わらない女性と結婚するなんて、と複雑な思いはある。でも、裏返せば、四乃森直己の中で、娘は大人の女性として存在してないのだろう。
「さゆみさんは、四人兄弟の長女で、兄が二人、妹が一人いらっしゃる。妹さんはね、椎名彩香さんと言って、うちで働いているよ」
「働いてる……?」
「受付の女性だよ。みちるは会ったことない?」
受付の椎名さんと言ったら、一人しかいないだろう。私を凝視していた彼女だ。
仁志さんは食べながら聞いてくれればいいと笑顔を見せたけど、そんな気になれなくて、じっと彼を見返した。
「お相手の方は、椎名さゆみさん」
「椎名……?」
「何?」
「あっ、いえ。続けてください」
椎名と聞いて、とっさに浮かんだのは、富山ビルの受付嬢だった。妙な居心地の悪さを感じながら、耳を傾ける。
「年齢はもう、報道で知ったと思うけどね、30歳。椎名グループ会長の縁戚にあたる方で、お互いの知人を介して知り合ったそうだよ」
「椎名グループって、ホテルチェーン大手の?」
「そう。椎名さんには、うちもお世話になってる」
だから、悪いようには思わないでほしい。仁志さんはそう言ったみたいだった。
「あの人と結婚するには申し分ない方みたいですね」
「年齢差には驚いただろうけど、まあ、そうだね」
私とほとんど歳の変わらない女性と結婚するなんて、と複雑な思いはある。でも、裏返せば、四乃森直己の中で、娘は大人の女性として存在してないのだろう。
「さゆみさんは、四人兄弟の長女で、兄が二人、妹が一人いらっしゃる。妹さんはね、椎名彩香さんと言って、うちで働いているよ」
「働いてる……?」
「受付の女性だよ。みちるは会ったことない?」
受付の椎名さんと言ったら、一人しかいないだろう。私を凝視していた彼女だ。