嘘よりも真実よりも
「誰が見ても、お綺麗な方ですよね」
彩香の視線はビル内の受付の方へ向く。まるで、そこにみちるの姿を見てるみたいに。
「そうだろうね」
「綺麗ってだけで、金城さんからも富山さんからも大切にされるなんて、羨ましいです」
嫉妬まじりの言葉に、俺は困って眉をひそめる。
「あの人だって、富山さんとお出かけになるんだから、金城さんだってたまには女の子と遊んだっていいと思いますよ」
「彼女がお兄さんと出かけるのと一緒にはできない」
「お兄さん……?」
けげんそうに彼女は俺を見上げ、眉間に寄せたしわを隠そうともせずに動きを止めた。
みちるが富山仁志の妹だと、知らないのだろうか。
「椎名さん、悪いね。何度誘ってもらっても行くつもりはないよ。じゃあ、もう行くから。おつかれさま」
話が長くなるのも困る。表情を変えない彼女に背を向け、トレンチコートのえりをつかんで、冷たい風の吹く中を歩き出す。
これまで、俺に近づいてくる女性は、どちらかというと、あっさりしてる人が多かった。彩香は少し違う。深入りしたらいけない。そういう思いを持たせる女性だ。
「金城さんっ」
しばらくすると、後ろから彩香の声が追いかけてきた。
「金城さんっ! それでいいんですかっ?」
ゆっくり足を止めて振り返る。いいって、何が?
彩香はすぐ目の前まで駆けてきて、前髪を乱しながら叫ぶ。
「彼女、金城さんに嘘ついてるんですよっ?」
「何……」
あまりに唐突で、何を言い出したのかといぶかしむ。
どうしたのだろう。みちるを卑しめたって、俺が彼女になびくわけないのに。そのぐらいはわかる女性のはずだろう。
彩香はまっすぐ俺を見つめたまま、冷静に言う。
「嘘をついてるから、金城さんは誤解してるんでしょう? あの人は、富山仁志さんの妹じゃないんですから」
彩香の視線はビル内の受付の方へ向く。まるで、そこにみちるの姿を見てるみたいに。
「そうだろうね」
「綺麗ってだけで、金城さんからも富山さんからも大切にされるなんて、羨ましいです」
嫉妬まじりの言葉に、俺は困って眉をひそめる。
「あの人だって、富山さんとお出かけになるんだから、金城さんだってたまには女の子と遊んだっていいと思いますよ」
「彼女がお兄さんと出かけるのと一緒にはできない」
「お兄さん……?」
けげんそうに彼女は俺を見上げ、眉間に寄せたしわを隠そうともせずに動きを止めた。
みちるが富山仁志の妹だと、知らないのだろうか。
「椎名さん、悪いね。何度誘ってもらっても行くつもりはないよ。じゃあ、もう行くから。おつかれさま」
話が長くなるのも困る。表情を変えない彼女に背を向け、トレンチコートのえりをつかんで、冷たい風の吹く中を歩き出す。
これまで、俺に近づいてくる女性は、どちらかというと、あっさりしてる人が多かった。彩香は少し違う。深入りしたらいけない。そういう思いを持たせる女性だ。
「金城さんっ」
しばらくすると、後ろから彩香の声が追いかけてきた。
「金城さんっ! それでいいんですかっ?」
ゆっくり足を止めて振り返る。いいって、何が?
彩香はすぐ目の前まで駆けてきて、前髪を乱しながら叫ぶ。
「彼女、金城さんに嘘ついてるんですよっ?」
「何……」
あまりに唐突で、何を言い出したのかといぶかしむ。
どうしたのだろう。みちるを卑しめたって、俺が彼女になびくわけないのに。そのぐらいはわかる女性のはずだろう。
彩香はまっすぐ俺を見つめたまま、冷静に言う。
「嘘をついてるから、金城さんは誤解してるんでしょう? あの人は、富山仁志さんの妹じゃないんですから」