嘘よりも真実よりも
「みちるは俺たちの大切な妹だからね、物騒な手紙の誘いに一人で行かせるわけがない」
「そうやって、だましてるんですか」
「だます? 意味がわからない」
大げさに、清貴さんは肩をすくめる。
「大切な妹だなんて、嘘。富山豊彦に娘がいないのはわかっています」
「いちゃもんつけに来たの?」
「真実を確かめに来たんです。私、全部知ってるんですから」
清貴さんのおどけた態度にいらいらした様子で、彩香さんはバッグから手帳を取り出す。そして、手帳の真ん中あたりにはさんである一枚の写真を、私たちの前に突き出した。
写真に映る人物を見て、私は小さく息を飲んだ。それは、私が19歳の時の、成人式の写真だった。今でも覚えている。未知子が撮影してくれたものだ。
「おー、若いな、みちる。今も綺麗だけど、やっぱりこの頃はかわいいな」
振袖姿の19歳の私と困惑する私を交互に眺める清貴さんが、写真に手を伸ばそうとすると、彩香さんはそれをひっくり返した。
写真の裏側には、撮影日と私のフルネームが書かれていた。
「久我みちるさんは富山豊彦の娘じゃないっていう証拠です。あなたは翻訳家として働く前から久我なんですから。みちるさんの父親は、久我直己ですよね?」
「そうやって、だましてるんですか」
「だます? 意味がわからない」
大げさに、清貴さんは肩をすくめる。
「大切な妹だなんて、嘘。富山豊彦に娘がいないのはわかっています」
「いちゃもんつけに来たの?」
「真実を確かめに来たんです。私、全部知ってるんですから」
清貴さんのおどけた態度にいらいらした様子で、彩香さんはバッグから手帳を取り出す。そして、手帳の真ん中あたりにはさんである一枚の写真を、私たちの前に突き出した。
写真に映る人物を見て、私は小さく息を飲んだ。それは、私が19歳の時の、成人式の写真だった。今でも覚えている。未知子が撮影してくれたものだ。
「おー、若いな、みちる。今も綺麗だけど、やっぱりこの頃はかわいいな」
振袖姿の19歳の私と困惑する私を交互に眺める清貴さんが、写真に手を伸ばそうとすると、彩香さんはそれをひっくり返した。
写真の裏側には、撮影日と私のフルネームが書かれていた。
「久我みちるさんは富山豊彦の娘じゃないっていう証拠です。あなたは翻訳家として働く前から久我なんですから。みちるさんの父親は、久我直己ですよね?」