いっそ、君が欲しいと言えたなら~冷徹御曹司は政略妻を深く激しく愛したい~
叔母姉妹がケーキを貶していたのを由真が気にしたくらいだ。國吉にも聞こえていたに違いない。
「いいパティシエがいるね」
「はい!」
史織は張り切って返事をする。
たとえ表面を繕うためなのだとしても、泰章の心遣いが嬉しかった。
その日仕事を終えて帰り支度をしていると、店長室へ呼ばれた。
入江は例の騒ぎがあってから間もなくして店に出てきた。報告はしてあるし、大変だったなとねぎらいももらっている。オーナーもその場の状況を把握してくれているので、その件ではないとは思う。
とはいえ、騒ぎになったのは間違いではない。それも親族間のいざこざに店を巻き込んでしまった。
そのあたりを注意されるのかもしれない。親族間の問題が収まるまで店には出ないようにと言われたりはしないだろうか。
いろいろと心配をしながら店長室へ向かった史織だが、それらは杞憂に終わった。
そこには入江の他に國吉がいて、彼から小さなケーキボックスを渡されたのである。四号のデコ箱はホールケーキ専用だ。
「これ、よかったら旦那さんと食べてくれ。今日のお礼。騒ぎを収めてくれたのもそうだけど、ケーキを褒めてもらえてすごく嬉しかった」
「四号のフルーツタルトなんだけど、國吉君がオリジナルでデコレしたんだ。すごくかわいいぞ。さすがはうちの子たちの妹だ」
口を出した入江も満足そうで、店長にまで褒められ國吉は照れくさそうに笑う。
「正直……作るのは好きだけど、いまいちデコレーションは苦手で逃げていたところが少しあるんだ。でも、今日さ……烏丸さんに褒めてもらえて、なんか自信がついたっていうか。単純だけど。でも、こっちも頑張ってみようかなって思って。だって、烏丸さんみたいな大きい会社の人に褒められるのって、すごいことだし」
照れながらも話してくれる國吉を見ていると、史織は嬉しくなってくる。ひとりのパティシエをこんなにも奮起させるだけの影響力を、泰章は持っているのだ。
史織は両手でケーキボックスを持ち、笑顔で礼を口にした。
「ありがとうございます。泰章さん、喜びます」
一緒に食べることはできないかもしれないけれど、彼の言葉に感動したパティシエが心を込めて作ったのだから。きっと喜んでくれる。
史織は、それを信じた。
「いいパティシエがいるね」
「はい!」
史織は張り切って返事をする。
たとえ表面を繕うためなのだとしても、泰章の心遣いが嬉しかった。
その日仕事を終えて帰り支度をしていると、店長室へ呼ばれた。
入江は例の騒ぎがあってから間もなくして店に出てきた。報告はしてあるし、大変だったなとねぎらいももらっている。オーナーもその場の状況を把握してくれているので、その件ではないとは思う。
とはいえ、騒ぎになったのは間違いではない。それも親族間のいざこざに店を巻き込んでしまった。
そのあたりを注意されるのかもしれない。親族間の問題が収まるまで店には出ないようにと言われたりはしないだろうか。
いろいろと心配をしながら店長室へ向かった史織だが、それらは杞憂に終わった。
そこには入江の他に國吉がいて、彼から小さなケーキボックスを渡されたのである。四号のデコ箱はホールケーキ専用だ。
「これ、よかったら旦那さんと食べてくれ。今日のお礼。騒ぎを収めてくれたのもそうだけど、ケーキを褒めてもらえてすごく嬉しかった」
「四号のフルーツタルトなんだけど、國吉君がオリジナルでデコレしたんだ。すごくかわいいぞ。さすがはうちの子たちの妹だ」
口を出した入江も満足そうで、店長にまで褒められ國吉は照れくさそうに笑う。
「正直……作るのは好きだけど、いまいちデコレーションは苦手で逃げていたところが少しあるんだ。でも、今日さ……烏丸さんに褒めてもらえて、なんか自信がついたっていうか。単純だけど。でも、こっちも頑張ってみようかなって思って。だって、烏丸さんみたいな大きい会社の人に褒められるのって、すごいことだし」
照れながらも話してくれる國吉を見ていると、史織は嬉しくなってくる。ひとりのパティシエをこんなにも奮起させるだけの影響力を、泰章は持っているのだ。
史織は両手でケーキボックスを持ち、笑顔で礼を口にした。
「ありがとうございます。泰章さん、喜びます」
一緒に食べることはできないかもしれないけれど、彼の言葉に感動したパティシエが心を込めて作ったのだから。きっと喜んでくれる。
史織は、それを信じた。