いっそ、君が欲しいと言えたなら~冷徹御曹司は政略妻を深く激しく愛したい~
――ぼんやりと……意識が戻る。
まぶたを開かないまま、しばらく忘我の果てを彷徨っていた。
ふと、肌に触れる温かな体温と愛しさを感じる芳香に気付いて、すうっと……頭の霞が晴れるように思考が回りはじめる。
泰章の書斎で、彼に抱かれた。彼の熱にあてられて意識が飛んで……。
目を開けたら、きっと彼はいないだろう。初夜の時も翌日も、目を覚ました時泰章はいなかった。
嫌いな女と、いつまでも肌を合わせていたいはずはない……。それなのに、史織の身体は泰章の肌の感触とにおいを感じている。
(あったかい……)
ゆっくりとまぶたが開く。見えてくるのは……。
「……史織?」
鼓膜をくすぐる声に肌が反応する。ざわざわっと歓喜に震え、史織は目を見開いた。
「よく寝ていたな。無理をさせたか? すまなかった」
目の前に、泰章がいる。それどころか、腕に史織の頭をのせ、抱き寄せてくれている。
彼の背後には書斎の書棚が見える。ソファで抱かれて、彼はずっと寄り添っていてくれたのだ。
抱き合うふたりの上には、泰章がソファで休む時に使用しているのであろう上がけがかけられていた。
……信じられない。
彼が、ずっと寄り添っていてくれるなんて……。
「今夜は、もうここで眠ってしまおう。でも、夜中に一階の風呂に一緒に入るのもありだな」
史織のひたいに唇をつけ、泰章は楽しげにプランを語る。彼が寄り添っていてくれている現実がまだ信じられなくて、このセリフも幻聴ではないかと思えた。
「どうして……夜中なんですか……」
幻聴ではないのなら自分の問いに反応してくれるかもしれない。そんな思いで口を出す。ひたいでクスリと笑う彼の吐息を感じた。
「一緒に入って、いちゃいちゃしながら出てくるのを見られるのは、恥ずかしいんだろう?」
「それは……」
「俺は恥ずかしくないけど、史織が恥ずかしいなら仕方がない。でも、誰も見ていなければいいだろう?」
……幻聴じゃない……。
史織の妄想でもない。これは、本物の泰章が言ってくれている言葉で……ここにいるのも泰章本人だ。
「泰章……さん……」
おだやかな声、温かな体温、包み込んでくれる愛情。……それらを感じるのは、自惚れだろうか……。
まぶたを開かないまま、しばらく忘我の果てを彷徨っていた。
ふと、肌に触れる温かな体温と愛しさを感じる芳香に気付いて、すうっと……頭の霞が晴れるように思考が回りはじめる。
泰章の書斎で、彼に抱かれた。彼の熱にあてられて意識が飛んで……。
目を開けたら、きっと彼はいないだろう。初夜の時も翌日も、目を覚ました時泰章はいなかった。
嫌いな女と、いつまでも肌を合わせていたいはずはない……。それなのに、史織の身体は泰章の肌の感触とにおいを感じている。
(あったかい……)
ゆっくりとまぶたが開く。見えてくるのは……。
「……史織?」
鼓膜をくすぐる声に肌が反応する。ざわざわっと歓喜に震え、史織は目を見開いた。
「よく寝ていたな。無理をさせたか? すまなかった」
目の前に、泰章がいる。それどころか、腕に史織の頭をのせ、抱き寄せてくれている。
彼の背後には書斎の書棚が見える。ソファで抱かれて、彼はずっと寄り添っていてくれたのだ。
抱き合うふたりの上には、泰章がソファで休む時に使用しているのであろう上がけがかけられていた。
……信じられない。
彼が、ずっと寄り添っていてくれるなんて……。
「今夜は、もうここで眠ってしまおう。でも、夜中に一階の風呂に一緒に入るのもありだな」
史織のひたいに唇をつけ、泰章は楽しげにプランを語る。彼が寄り添っていてくれている現実がまだ信じられなくて、このセリフも幻聴ではないかと思えた。
「どうして……夜中なんですか……」
幻聴ではないのなら自分の問いに反応してくれるかもしれない。そんな思いで口を出す。ひたいでクスリと笑う彼の吐息を感じた。
「一緒に入って、いちゃいちゃしながら出てくるのを見られるのは、恥ずかしいんだろう?」
「それは……」
「俺は恥ずかしくないけど、史織が恥ずかしいなら仕方がない。でも、誰も見ていなければいいだろう?」
……幻聴じゃない……。
史織の妄想でもない。これは、本物の泰章が言ってくれている言葉で……ここにいるのも泰章本人だ。
「泰章……さん……」
おだやかな声、温かな体温、包み込んでくれる愛情。……それらを感じるのは、自惚れだろうか……。