いっそ、君が欲しいと言えたなら~冷徹御曹司は政略妻を深く激しく愛したい~
史織の性格を考えるなら、責任感の強い優しい人なのではないかと感じる。母親が反面教師になる場合だってあるのだから、必ずしも母娘が同じような性格になるとは限らない。それでも、泰章はなにかが引っかかる。
元父を捜しだすのに時間がかかったのもそうだが、史織の母親は、なぜ見つからないのだろう。
とっくに別れたとはいえ、まったく足取りがつかめないというのもおかしくはないだろうか。
なんの痕跡も残さずに逃げ暮らしているなんて、まるで指名手配中の犯罪者だ。一般人がそこまで警戒する必要はない。史織の母親は、烏丸家から恨みを買って追われているということすら知らないはずだ。
――否。
もしも、……知っているとしたら。話は変わってくる。
知った上で、身を隠しているとしたら。身を隠さなくてはいけないのだとすれば。
こちらの動きを知らせることができる人間がいる。その人物が頭をよぎり、泰章の胸の中にいやなものが渦巻いた。
*****
泰章の腕の中で目を覚ます、ましてやその状態で朝を迎えるなど信じられないにもほどがある。
それなのに、……泰章の腕の中で、史織は朝を迎えてしまった。それもまぶたを開くと自分を見つめている彼がいるというおまけ付き。
「おはよう、史織」
さらに彼からおはようのキスをされるという、くじを三本ひいたら三本とも一等だったと同じくらいの衝撃的幸運だ。
「お、おはよう……ございます」
あたふたした声を出すと泰章にクスリと笑われた。
「よく眠れたかい? ぐっすりだったけど」
「はい……あの、泰章さんは、いつから起きていたんですか?」
「ん~、結構前からだと思う。いつ起きるかな~、と思って眺めていたんだけど、なかなか起きなくて。休みの日でも早起きする真面目な史織が、珍しいなって。そんなに気持ちよかったのかな~……とか思って見ていた」
意味深なセリフが混じったと同時に、昨夜の甘い時間が脳裏によみがえる。なにか言い返さなくてはと思うと焦ってしまい、史織は考える前に言葉を出してしまった。
「泰章さんが悪いんですよ。に、二回もするから……」
言ってしまった瞬間、コレジャナイ感がすごい。違う、こんなことではなく、昨日はいろいろあって疲れたから、くらいに留めておくのが正解だ。
元父を捜しだすのに時間がかかったのもそうだが、史織の母親は、なぜ見つからないのだろう。
とっくに別れたとはいえ、まったく足取りがつかめないというのもおかしくはないだろうか。
なんの痕跡も残さずに逃げ暮らしているなんて、まるで指名手配中の犯罪者だ。一般人がそこまで警戒する必要はない。史織の母親は、烏丸家から恨みを買って追われているということすら知らないはずだ。
――否。
もしも、……知っているとしたら。話は変わってくる。
知った上で、身を隠しているとしたら。身を隠さなくてはいけないのだとすれば。
こちらの動きを知らせることができる人間がいる。その人物が頭をよぎり、泰章の胸の中にいやなものが渦巻いた。
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泰章の腕の中で目を覚ます、ましてやその状態で朝を迎えるなど信じられないにもほどがある。
それなのに、……泰章の腕の中で、史織は朝を迎えてしまった。それもまぶたを開くと自分を見つめている彼がいるというおまけ付き。
「おはよう、史織」
さらに彼からおはようのキスをされるという、くじを三本ひいたら三本とも一等だったと同じくらいの衝撃的幸運だ。
「お、おはよう……ございます」
あたふたした声を出すと泰章にクスリと笑われた。
「よく眠れたかい? ぐっすりだったけど」
「はい……あの、泰章さんは、いつから起きていたんですか?」
「ん~、結構前からだと思う。いつ起きるかな~、と思って眺めていたんだけど、なかなか起きなくて。休みの日でも早起きする真面目な史織が、珍しいなって。そんなに気持ちよかったのかな~……とか思って見ていた」
意味深なセリフが混じったと同時に、昨夜の甘い時間が脳裏によみがえる。なにか言い返さなくてはと思うと焦ってしまい、史織は考える前に言葉を出してしまった。
「泰章さんが悪いんですよ。に、二回もするから……」
言ってしまった瞬間、コレジャナイ感がすごい。違う、こんなことではなく、昨日はいろいろあって疲れたから、くらいに留めておくのが正解だ。