クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
夫婦の再会
 闇も深まり、空に輝くのは満天の星。どうやら新月だったらしい。その分、星が綺麗に揺らめいて見える。こんな星空を彼女と見上げるのも悪くはないな、と馬上で考えながら、飛竜舎から自身の屋敷へと向かっていた。

 レーニスを金で手に入れておきながら、いや、金で手に入れたからこそ、彼女とどのように接したらいいのかがわからない。ティメルの言う通り白い結婚を望めばよかったのかもしれない。だけど、彼女を一目見た時、そして結婚式に隣で微笑んでいる彼女と誓い合った時、どうしても彼女を手に入れたいという己の欲が沸々と沸き起こってきたのだ。その日の夜も散々悩んだ後、結局あの寝室へと向かった。抑えきれなかった。彼女を妻にしたいという思いと、あわよくば自分との子が彼女に宿ることを。

 だからこそ、嫌われたくない。だから会えない。それでも自分の手の届く範囲にいて欲しいという、矛盾たる想い。

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