クビになった聖女ですが、嫁ぎ先で真の力が目覚めたので第二の人生は幸せです なぜか辺境竜騎士様の溺愛が止まらないのですが!
「それでは旦那様。両手を出していただいてもよろしいでしょうか。このように手の平を上にしてください」
 デーセオは黙って彼女の言葉に従い、両手を差し出す。レーニスはそれに己の手を重ねた。デーセオの手は大きくてごつごつした剣ダコもある。そして、温かかった。
 レーニスは目を閉じ、いつものように聖なる力を流し込む。このように強い呪いを解呪するときには相手に触れる必要がある。触れる面積が多ければ多いほど、流し込める力の量が変わる。神殿ではこれだけ強力な呪いを解呪したことはなかった。いつもはちょっとした呪い。じわじわと人を疲弊させるような、人を不幸な気持ちにさせるような、そんな呪いが多かった。
 だがデーセオのこれは違う。明らかな殺意が込められている。

「あの、旦那様」
 手を重ねたままレーニスが口を開いた。

「なんだ」

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