偽装結婚の行く末
「美優、ただいま」

「お、おかえり」

「なんで身構えてんだよ。あ、風呂上がってすっぴんだから?
美優は化粧しなくてもかわいいから大丈夫」

「うるさいってば!最近なんなの?」

「……はいはい、今日もいつも通りだな」


ところが美優はいつまで経っても絆されてくれない。
参ったな、まっすぐ愛情表現してんのに全て曲解されてる。
今まで冗談言いすぎて間に受けてくれないとか、オオカミ少年かよ。


「けど、うるさいとか暴言吐いてくる美優にはデザートなしだな」

「デザートって?」

「カヌレとマカロン」

「……うるさいって言ってごめん」

「ブハッ、お前そういうところ可愛いな」


デザートで折れるとかチョロい。
それなのにガード固いってなんだよその矛盾。

ところで、美優と暮らして分かったことがある。

美優は俺にしか本心を出さない。
出さないというか出せない。
母親にも弟の律にも、本当の自分を出せなくて万年猫を被っている。

つまり俺だけが本当の美優を知ってる。
そう思うと、くすぶる独占欲に火をつけられそうになる。
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