偽装結婚の行く末
「はー、食った食った」

「ごちそうさまでした」

「律儀だな、どうした」


喫茶店を出て昴の家に歩いて戻る。
途中で一応お礼を言ったら昴は首をかしげた。


「だって、この前も奢ってもらったのにお金出させてばっかり」

「だから言ったろ?金ならあるって」

「……ムカつく」


余裕の表情に顔をしわくちゃにして嫌悪感を示す。
しかし昴は「おっ、いつもの美優だ」って歯を見せてケタケタ笑う。

やっぱこの男に真面目に対応するなんてアホらしいわ、お言葉通り全力で甘えてやろう。


「ま、美優は来月のパーティで俺を楽しませてくれるもんな?」

「まーだ言ってんのそれ。無理だって」

「おいおい、上手く対応してくれなきゃ美優を婚約者に抜釘した意味がねえだろ」

「そんなの見て何が楽しいの?あんたほんと性格悪い」

「違う違う、俺は享楽主義者ってやつだから」


なるほどね、あたしは金持ちの道楽に付き合わされた哀れな女ってところか。


「あっそ、どーでもいいけど後悔しないでよね」

「美優ならどう転がってもおもしろいから大丈夫」


哀れなのになんとも思わないのは元々こいつが変なやつだから。
嫌いになれない理由はそういうことにしておこ。
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