偽装結婚の行く末
そして迎えた決戦・起業家パーティーの日。
あたしは昴に買ってもらった黒のロングドレスを着て戦いに挑んだ。

高級ホテルのホールに立食パーティー形式で開催されているためドレスコードらしい。

今日のために頭からつま先までぬかりなく磨き上げたつもりだ。
メイクも上出来だったけど、昴は今日のあたしを見ても特に何も言ってくれなかった。
何も期待してないけどちょっとショック。


「……美優、そろそろ俺動き出すからよろしく」

「はいはい、がんばりまーす」


生返事をすると昴はわざとらしく腰に手を添えて歩き出し、ターゲットの社長に声をかける。
はっきりした目鼻立ちにグレーの瞳のイケメン。
日本語が流暢な彼は人材派遣会社の社長らしい。

愛想笑いを繰り返しながら2人の会話を聞いていると、遠くの方から「昴さーん!」と女の声が聞こえた。
……ついに来たか?


声のした方を見る。そこにはデコルテを出した薄いブルーのドレスを身につけた華奢な女が小走りで近づいてきていた。

うわ、あたし無理なタイプ〜。
男ウケを狙った透け感のあるドレス、“絶対作ってるだろその声”って感じの猫なで声。

顔は可愛い。けどひと目で分かるほど地雷臭プンプンの女の登場にあたしは思わず後ずさりした。


「昴さんを見つけて走っちゃいましたぁ、麗奈(れいな)、会えて嬉しいです」


さらに20代で自分のこと名前呼び?
……やばい、ツッコミどころが多すぎて脳内処理が追いつかない。
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