偽装結婚の行く末
あーあ、来るんじゃなかった。
昴はあたしのことそっちのけで社交辞令のつまらない話ばっかりしてる。
端っこで様子を見ながらグビグビ酒を煽るけど、変に緊張して酔えなくて最悪。


「今日の美優かっこよかった」


ようやくお開きになって会場を後にすることに。
昴は鼻歌を歌いながら笑いかけてきた。


「……どーも」

「機嫌直して?」

「あの女の真似やめてよ」

「はは、ぶりっ子って難しいな」


あごを引いて上目遣いで見つめてきたからイラッとする。
機嫌がいいのが余計に腹立つ。


「帰ろうぜ」

「どこに?あの女ギャフンと言わせたからもう自分の家に帰っていい?」

「……放置してごめんな」


昴のことだから「なんで怒ってんの?」って何食わぬ顔をすると思ったのに謝ってきた。
怒りの矛先がなくなって調子が狂う。

……確かに100万もらってんだからもっと仕事しないと割に合わないよね。


「ごめん、あたしも今の言い方キツかった」


冷静になって謝ったら昴は「とりあえず帰ろーぜ」と会場前に待機していたタクシーに乗り込んだ。
あたしも後を追って乗ると、走り出した車の中で急に昴が笑いだした。
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