偽装結婚の行く末
「や、やだ!」

「なんで?昔はよく一緒に寝てたのに」

「いつの話よ」

「家のアルバム見たらだいたい美優が一緒に写ってた。
一緒の布団に寝てんのに、俺は端っこに追いやられてんの。あれは笑った」

「そんな昔のこと覚えてない」


意識してるのがバレたくなくて、ベットの端に寄って昴に背を向ける。
昴は枕元に置いていたリモコンを操作して部屋の電気を消した。


「俺は覚えてる」


そして暗闇の中、たぐり寄せるように後ろから抱きついてきた。
ねえ、これはあんたの気まぐれ?
あたしがチョロいって知ってて、なんでこんなことすんの。

パニック寸前の頭。あたしは平常心を保つのでいっぱいだった。


「ちょっと、変なところ触らないでよ」

「うっせーな。俺は紳士だから美優のない胸なんて触らねえよ」

「紳士は自分のこと紳士って言わないし、あたしは貧乳じゃないんですけど!」

「あー、はいはい。それだけ騒げりゃ明日元気に出勤できるな」


あーもう、張り合うと疲れる。
無視しよう、寝ることに集中しないと明日キツい。
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