偽装結婚の行く末
昔から寝る時はこの体勢だった。
後ろが見えないからお化けがいるんじゃないか不安だった。
そしたら昴が『俺が後ろにいてやるから』って後ろから抱きついて寝てくれた。

昴はきっとそんなこと、覚えてないだろうけど。
ふと、懐かしくて涙が込み上げた。

……泣いちゃうとか、かなり精神が参ってるな。
仕方ないよね、今日1日痛みのせいでストレスすごかったし。
鼻をすすると昴が布団の中でもぞもぞ動く。


「……泣いてる?キツい?」

「そういう時は黙って抱きしめてよ」

「はいはい、注文が多いことで」


ゆるく巻きついていた腕に力を込めてさらに密着する昴。
あったかい手。試しに手を重ねてみた。


「うわ、手冷たっ」

「末端冷え性だから仕方ないじゃん」

「あっためてやるから手、貸せ」


昴に手を握られ、抱きしめられて体温が上がってきた。
するとウトウト眠気に誘われて、いつの間にか寝ていた。
< 58 / 182 >

この作品をシェア

pagetop