偽装結婚の行く末
さすがに病み上がりの仕事はキツかった。
病気じゃないけどずっと寝てたから病み上がりみたいなもん。

昴の家に帰ると、ダイニングテーブルに座って顔の前で両手を組んで待ち構えていた。


「さて、次の司令を言い渡そう」

「は?」

「あ?今日話があるって言ったろ?」


あー、言ってたわ。
てか話って、偽婚約者としての仕事についてね。



「よっこらせ、何をすればいいの?」

「……美優、おっさん味が増してね?」

「うるさいな、さすがにキツかったの」


かけ声を出さないと座れないくらい疲れてんのよ。
座ると、昴は胡散くさい笑顔を見せた。
何?絶対ろくなこと考えてない。


三村(みむら)ホールディングスの会長の奥さんと仲良くなって」


三村ホールディングスっていえば、国内で5本の指に入るくらい有名なグループ会社。
無理でしょ、そもそもどうやって接点作るのよ。


「だからなぜそんな無理難題を?」

「あそこの奥さん、お前が務めてる会社のお得意様だろ?」

「そうらしいけど、たかが受付嬢のあたしにはまったく接点ないから」

「美優ならできるって」

「いやだから、どうやって接点作るつもり?」

「そこは考えてあるから大丈夫」


本当にやる気?昴は無謀なことは挑戦しないタイプだけど、今回ばかりは厳しいと思う。
それとも、そんな切羽詰まってるの?
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