偽装結婚の行く末
存分に食べ歩きをして夜になった。
それまで行き先に口を挟まなかった昴が、祇園に行こうと言い出したから夜の祇園を歩いていた。

昴は私を連れて路地裏に進んでいく。


「ねえ、歩くの早いよ」

「ああ、脚が長くてごめんな」

「違うって!石畳につまずきそうで怖いの」


立ち止まった昴は、ためらいなくあたしと手を繋いだ。
ぶっきらぼうに見えて優しい行動に胸が高鳴る。
……ってあたし、何を緊張してるんだか。


「どこに向かってんの?」

「はい、着いた。京都の夜と言えばここだろ」


到着したのはのれんのかかった料亭。
待てよ、祇園で料亭ってもしかして……。


「もしかして、お座敷遊び?」


まさかと思って首を傾げる。
すると昴の口が「せーかい」と動いた。


「でもこういうところって一見さんお断りなんじゃ……」

「俺、一見さんじゃないから大丈夫」

「……」


は?お座敷遊び経験済みってこと?
そりゃあね、社長になればいろんな人脈があるだろうけどさあ。
でも、金持ちの大人の遊びって感じで癪に障る。
思わずギリギリ歯ぎしりをした。
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