偽装結婚の行く末
ほろ酔いでホテルに着くと、昴はカードキーを手にして前を歩く。
親鳥を前にしたヒナみたいに素直について行って部屋に入る。
しかし、そこで違和感に気づいた。


「……広くない?」


部屋がやけに広くて豪華。
あれ、HPで見た部屋と違う。


「そうそう、今日の部屋はお前が選んだホテルのスイートルーム」

「何してんの!?ホテルに金かけなくていいって言ったのに!」

「だって他の部屋ラブホみてえだから」

「ラブホじゃないから!」


だからってスイートルームを選ぶ理由にはならないでしよ。
酔っぱらいでも昴の金持ちムーブにはつっこまずにいられなかった。


「美優って変なところで真面目だよな」

「真面目っていうか、あんたのお財布事情を心配してんの!
こんな金使って大丈夫?」

「あれ、忘れた?俺の月収は美優の10倍だってこと」


……ムカつく。心配するまでもなかったわ。


「先にお風呂入ってくる」

「湯船には浸かるなよ。そんだけ飲んでりゃのぼせるから」

「分かってる〜」


心配する必要ないって言うなら存分に楽しませてもらう。

バスルームは当然のように大理石でテンションが上がる。
浴槽はジャグジーバス。酔ってなかったら飛び込みたかったけど今は我慢。
2泊するし明日の楽しみにとっておこう。

鼻歌を歌いながらメイクを落として服を脱ぐ。
言われた通りシャワーだけ浴びて広い洗面台の前へ。


「はあ、暑っ……」


お酒飲んで身体がポカポカしてるから、パンツだけ履いて上半身裸でドライヤーを手に取った。
ドライヤーの音で紛れるからカラオケ気分で歌い出す。
ご機嫌でサビにさしかかったとき、突然バスルームの扉が開いた。
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