偽装結婚の行く末
「……」


人間、本当に驚くと声が出ないらしい。
ドアを開けたのは昴だった。
さすがの昴も驚いて「うおっ」と声を上げたあと固まった。


「お前、服着らずにドライヤーかけんの?」

「は?」


凝視しながら聞いてきたけど、そこは『ごめん』でしょ。
あたし上半身裸なんだけど。


「つーか、鍵かけとけよ」

「勝手に開けたのそっちじゃん。
てかあたしじゃ勃たないんでしょ?」


腹が立って昴を煽る。
どーせ巨乳好きの昴からしたら、あたしはさぞ貧相な胸に見えるでしょうよ。


「ならいいじゃん、早く閉めてよ」


睨んで追い出そうとしたけど、昴は後ろ手にドアを閉めてバスルームに入ってきた。
ちょっと、何してんの?
嫌な予感がして逃げようとしたら後ろから抱きしめられた。


「あんな冗談真に受けんなよ」

「嫌だ、やだ!離して」

「やーだ、その気にさせた美優が悪い」


その気にさせたって、あんたが勝手に入ってきたんじゃん!
反論しようと首をひねると、唇に何か当たった。
< 73 / 182 >

この作品をシェア

pagetop