内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
悠はスマートホンを軽く掲げ、詳しくはメッセージでとなった。
荷物を片付けてビルを出ると、早速着信がある。
【どこかお気に入りのお店とかある?】
私のお気に入り?
頭に浮かぶのは、店長たちと繰り出すガード下の飲み屋か、ラーメン屋? 旧交を温めるのにしても、せっかくなら静かな落ち着いたところで話をしたい。
【悠、決めて。私はどこでもいいよ】
返事はすぐにきて、イタリア料理のレストランはどうかという。
【美味しいらしいよ。ピザ生地で包み焼になった魚介のパスタがおすすめらしい。ここでいい?】
【そこでいい! 楽しみ】
お店のホームページから察するに、とても素敵な店で、わくわくと胸が踊ると同時に、これはまずいと思う。
今の服装では行けない。
我が身を振り返れば、トレードマークのようなデニムのパンツに上はパーカー。背中に店のマークである菫のモチーフが入ったウィンドブレーカーという、作業に特化した格好である。
しかもあちこちに樹液やら花粉というシミのおまけつきだ。
ガード下の飲み屋ならいざ知らず、なんとかしなきゃ。